360度パノラマ写真とは【基礎的な内容についての解説です】
この記事では、360度パノラマ写真の基礎的な内容について解説しています。
次のような疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
- 360度パノラマ写真がどういうものか知りたい。
- 360度パノラマ写真ならではの楽しみ方を知りたい。
- 360度カメラの購入を検討している。
- パノラマ雲台の購入を検討している。
360度パノラマ写真は、通常の写真のように構図を考えたりぼかしたりする必要がありません。そのため、初心者の方でもすぐに作れるようになります。
また、撮影後の合成作業は全て無料ソフトで行えます。これも初心者の方がとっつきやすいポイントです。
詳しい撮影方法や合成の仕方については別途記事にいたします。
このような内容について解説していきます。
1. 360度パノラマ写真ってなに?
360度パノラマ写真とはその名の通り、360度(カメラを中心に上下左右前後の全方位)が写っている写真のことです。このことから全天球写真とも呼ばれます。
通常のパノラマ写真が広範囲の一部を切り取った写真であるのに対して、こちらは全方位が写っています。
イメージとしては、Googleマップのストリートビューのようなものです。
全方位の風景を一枚の写真に収められるため、一度に多くの情報を伝えられます。
ほかにも、縦横比が必ず2:1の横に長い写真になるという特徴があります。
2. どんな楽しみ方があるの?
私のお勧めする楽しみ方は『Google認定フォトグラファー』を目指すことです。
Google認定フォトグラファーになることで、Googleマップ上にストリートビュー写真を公開できるようになります。
また、ストリートビュー撮影をビジネスとして報酬を得ることも可能になります。
認定されるには以下の要件を満たす必要があります。
- 360度パノラマ写真をGoogleマップに50枚以上投稿する。
- 投稿した写真の内、50枚以上がGoogleにVR写真として認定される。
- Googleからフォトグラファー認定バッチが発行される。
特にこの要件の内の、360度パノラマ写真をGoogleマップに50枚以上投稿するという過程を経ることで、360度パノラマ写真の撮影技術が向上します。
Googleからも認定されて一石二鳥です。
なり方の手順については、こちらのサイトの方がとても詳しく説明されています。
興味のある方はご覧になってみてください。
ほかにも、ドライブ中の車内や忘年会の席などで、皆の姿を一枚の写真に収められるのも360度パノラマ写真ならではの魅力です。
通常の写真が「被写体をいかに表現するか」というものに対して、360度パノラマ写真は「その場の様子の記録に特化した写真である」という見方もできます。
3. どんな撮影方法があるの?
これには次の二つの方法があります。
一つ目は、『360度カメラで全方位を一度に撮影する方法』
二つ目は、『魚眼レンズを装着した一眼レフカメラをパノラマ雲台に取り付け、全方位をいくつかに分割して撮影する方法』です。この方法の場合は、分割撮影した写真をつなぎ合わせて一枚の写真にするための合成作業が後から必要になります。
両方の方法で撮影をしたことのある私としては、圧倒的にお手軽である、360度カメラでの撮影をお勧めします。
一眼レフカメラを使用する場合には、360度カメラを使用する場合よりも高品質なパノラマ写真を作れるというメリットがあります。
しかし様々な面を考慮すると、360度カメラでの撮影に分があるかなと思います。
それでは、それぞれの撮影方法の向いている場面や特徴について解説していきます。
360度カメラで撮影する方法
この方法は次のような場面に向いています。
- パノラマ撮影について初心者である(360度カメラなら、360度パノラマ写真の完成までを全て自動で行ってくれます。そのため専門知識は必要ありません)
- 手軽に撮影したい(カメラが小さいので、ポケットから取り出してその場ですぐに撮影、ということもできます)
- できた写真をその場ですぐに確認したい(スマホのアプリを使えばその場ですぐに見られます)
- 忘年会など、大勢が集まる場面で記念写真を撮りたい(皆が一か所に集まる必要がないので、その場の自然な雰囲気を収めることができます。また、その場にいる人たちのスマホに写真を送ることもできます)
- 人通りの多い場所なので短時間でサクッと撮影したい(一度に全方位を撮影できるので撮影時間は短いです)
- あまりたくさんの撮影機材を持ち運びたくない(最低、360度カメラだけあれば撮影可能です)
特徴
その1 : 撮影が簡単
- 全方位を一度に撮影できるため、とても簡単でお手軽です。
その2 : 撮影のために必要な道具が少ない
以下のものがあればきれいなパノラマ写真を撮影することができます。
- 360度カメラ(カメラが小さい。最低、これだけあれば撮影可能です。私は『RICOH THETA』を使用しています)
- 三脚(手持ち撮影やテーブルなどに置いて撮影する場合には必要ありません)
- 雲台(手持ちハンドルの付いていない、なるべくコンパクトなものがよいです。真下部分の写りこみを最小限にできます)
- 水準器(あればなおよし。水平合わせは後からでもできるので無くてもOK。あると、後の編集が楽になります)
- スマホ(カメラ専用アプリを使って遠隔操作でシャッターを切ります)
その3 : 撮影後の合成作業が簡単。または必要ない。
- 「写真に写りこんでいる自分の姿を消したい」などの理由がなければ合成作業は必要ありません。
- 撮影した時点で既に全方位が写っているため、後から合成作業を行う場合でも作業量は少ないです。
その4 : カメラの真下部分が写ってしまう。
- 全方位を一度に撮影するという性質上、カメラの真下部分(三脚や撮影者の手)がどうしても写りこんでしまいます。これは、塗りつぶしたり、ぼかしたりするとで、ある程度は目立たなくさせることが可能です。しかし「地面や床もきれいに撮影されたパノラマ写真を作りたい」という場合は、後から紹介する『魚眼レンズを装着した一眼レフカメラを、パノラマ雲台に取り付けて撮影する方法』が向いています。
魚眼レンズを装着した一眼レフカメラを、パノラマ雲台に取り付けて撮影する方法
この方法は次のような場面に向いています。
- パノラマ写真についての知識がある程度ある(撮影や合成には知識が必要です)
- 高品質のパノラマ写真に仕上げたい(一眼レフカメラは360度カメラに比べて高画質の写真を撮れます)
- 撮影ポイントが少ない(一か所の撮影に時間がかかるので、撮影ポイントが多い場合は360度カメラでの撮影がお勧めです)
- 風景の動きが少ない場所である(全方位をいくつかに分けて撮影してつなぎ合わせるので、人や車などの動きの多い場所だと、後の合成が難しくなります)
- 人の往来が少ない場所である(撮影に時間がかかるので、人の多い場所だと通行の妨げになってしまいます)
- できた写真の真下部分に写っている三脚を消したい。地面や床もきれに撮影したい(後からの合成作業で完全に消すことができます。360度カメラで撮影した場合では、ごまかすぐらいのことしかできません。)
特徴
その1 : 撮影に手間がかかるが、高品質のパノラマ写真を作れる
- 一眼レフカメラは360度カメラに比べて高画質の写真を撮れるため、高品質のパノラマ写真に仕上げられます。
- 全方位をいくつかに分けて撮影する必要があるため、一か所の撮影に時間がかかります。
その2 : 撮影のために必要な道具が多い
以下のものが必要になります。荷物が多くなってしまい、パノラマ雲台の組み立ても必要になってきます。
- 一眼レフカメラ
- 魚眼レンズ(対角魚眼、円周魚眼のどちらでもOKです)
- レリーズ(カメラに直接触れずにシャッターを切ることで、ブレさせずに撮影できます)
- 三脚(パノラマ雲台とカメラの重量を合わせるとそこそこ重たくなるので、しっかりとしたものがよいです)
- 水準器(全ての角度の撮影で水平を保つ必要があります。そうすることで後の合成作業が楽になります)
- パノラマ雲台(私は『Nodal Ninja』を使用しています)
その3 : 撮影後に合成作業が必要
- パノラマ合成ソフトを使用し、分割撮影した写真をつなぎ合わせて一枚の写真にします(自動合成がうまくいけばすぐに完成するのですが、そうでない場合は手動で合成する必要があります)
4. 360度カメラを使いたいけど、自分を映り込ませたくない!
このようにお考えの方は多いのではないでしょうか?
私も初めはそう思っていました。
360度カメラは全方位を一度に撮影するので、物陰にでも隠れていない限り、自分の姿がどうしても写り込んでしまいます。
しかしこれは、ちょっとした合成作業を行うことで解決することができます。
その簡単な流れを説明いたします。
詳しい合成方法については今後別の記事で解説いたします。ここでは参考程度にご覧ください。
写真に写りこんだ自分の姿を消す方法
「完成した写真に自分の姿が写っているのがイヤだ」という場合は、異なる二枚の写真を合成することで自分の姿をきれいに消すことができます。
異なる二枚の写真というのは、カメラの位置はそのままで、自分の位置だけが変わっている写真のことです。
例としては次のようなものです。
① 最初の一枚目を撮影した後、場所を移動してから二枚目の写真を撮影します。
② パノラマ合成ソフトを使い、それぞれの写真から自分が写っている部分を消します。
③ これらの二枚の写真を重ね合わせます。
こうすることで、それぞれの写真から消えた部分を、もう一方の写真で補う形になります。
その結果、自分の姿だけが消えた写真になるというわけです。